TEDスーパープレゼンテーションで、アンジェラ・ダックワース博士は、成功の鍵は、GRIT『やり抜く力』と力説します。彼女の経歴やプロフィール、年齢などを調べてみました。そして、『やり抜く力』とはどんなものか?どうしたらその『やり抜く力』を身につけられるのか、彼女の答えとは・・
☆ 1970年生まれの47歳。
☆ 1992年、ハーバード大学で神経生物学を勉強。
☆ 1996年、オクスフォード大学にて、神経科学において修士号取得。
☆ 2006年、ペンシルバニア大学にて、心理学の博士号を取得。
☆ 現在は、ペンシルバニア大学で、教授として心理学の教鞭を取っています。そして、GRIT『やり抜く力』を研究しています。
☆ 2016年5月、Grit: The Power of Passion and Perseverance:GRIT『やり抜く力』を出版。
☆ 著書「GRIT」は、販売後またたく間にベストセラーとなり、ニューヨーク・タイムズで絶賛されました。
☆ アンジェラ・ダックワース・ホームページ:英語です。
TEDスーパープレゼンテーションでのトーク (約6分)~字幕~
私が27歳のとき、経営コンサルのとてもきつい仕事を辞め、もっときつい仕事に就きました。教師の仕事に就いたのです。ニューヨークの公立中学校で、一年生に数学を教えました。
先生らしく、小テストや試験を作って宿題を出しました。答案が戻ってくると、成績をつけました。
衝撃を受けたのは、
IQだけが優等生と劣等生の違いではないということでした。成績が大変に良かった生徒でも、それほど高いIQではない子もいたのです。頭がすごく良くても、成績の良くない生徒もいました。
そこで、私は考えました。
中学1年の数学で習うことは、確かに難しいです。
割合、少数、平行四辺形の面積・・
でも、こうした概念の習得は、不可能なことではありません。そこで、私は確信しました。どの生徒も、十分な時間をかけて一生懸命に勉強をすれば、必ず習得てきるのです。
数年の教師生活をやってみて、私はある結論にたどり着きました。
教育に必要なのは、動機づけ、心理学の観点から、生徒や学習についてもっとよく理解することなのです。
教育において、私達が唯一よく知っている物差しは、IQです。でも、もし学校や人生で上手にやれるかが、すぐに簡単に学習する能力意外にかかっているとしたら、どうでしょうか?
だから、私は教壇を下りて大学院に行き、心理学者になりました。様々な超挑戦的な環境に置かれた子供や大人についての研究を始めたのです。
どの研究においても考えていたのは、誰が成功し、それはなぜか? ということです。
私たちの研究チームは、ウエストポイント陸軍士官学校に行き、どの士官候補生が陸軍訓練に残り、誰が中退するかを予想しようとしました。
全国スペリングコンテストでは、どの子供が競争でより勝ち残るかを予想しようとしました。
教育困難な地区で働く新米教師を調べ、どの教師が、学年が終わるまで教えることを続けていて、そのうち誰が生徒の学習成果を上げるのに最も成功するかを考えました。
民間企業とも連携して調べました。
どの販売員が仕事を続け、そして誰が一番お金を稼ぐか。
こうした様々な状況において、ある一つの特徴が大きく成功を左右していました。
それは、社会的知性ではありません。
ルックスでも、身体的健康でも、IQでもありませんでした。
GRIT。やり抜く力です。
『やり抜く力』とは、超長期目標に向けた情熱や忍耐力で、スタミナがあることでもあります。
『やり抜く力』は、明けても暮れても自らの将来にこだわることです。
その週だけとか、その月だけではなく、何年もの間、一生懸命に取り組み、その夢を実現することです。
『やり抜く力』は、短距離走ではなく、マラソンを走るように生きることです。
数年前、シカゴの公立学校で、『やり抜く力』の研究を始めました。
何千人もの高校2年生に、『やり抜く力』に関するアンケートをして、一年間以上待って、誰が卒業するかを見ました。
結果、『やり抜く力』が高いほうが、より卒業にたどり着いていました。それは、様々な数値指標を同じにして比較したとしてもです。
家族の収入や、標準学力試験の成績、学校でどれだけ安全に感じているかが同じでもです。
『やり抜く力』が重要だったのは、陸軍士官学校や全国スペリング・コンテストだけでなく学校もです。特に落第ギリギリの生徒にとって重要でした。
私にとって、『やり抜く力』について最もショックだったのは、『やり抜く力」 を育てることについて、私達も、科学も、ほとんど知らないことです。
毎日、親御さんや生徒に聞かれます。こどもの『やり抜く力』をどう育てるか?
学習意欲をどう教えるのか?どうやって長い間、モチベーションを保たせるのか?
正直なところ、分かりません。
いま分かっているのは、才能と、『やり抜く力』は、違うことです。
私達のデータがはっきり示すとおり、才能があっても、純粋に最後まで決めたことをやり抜けない人たちが沢山います。
事実、データによれば、『やり抜く力』は、才能の高さとは、関係なく、むしろ反比例さえしています。
これまで聞いた中で、子供の『やり抜く力』を育てるのに、一番良いものは、
『成長思考』と呼ばれるものです。
スタンフォード大学のキャロル・ドウェック博士が見出したもので、『成功思考』とは、
学習する能力は固定しておらず、努力によって変えられる、と信じることです。
ドウェック博士が示したのは、子どもたちが、脳の機能や課題に対する脳の変化、成長について学ぶと、
失敗したときに、より辛抱できるようになることです。失敗は、永続的な状態でないと信じているからです。
ですから、『成長思考』は、『やり抜く力』を育てるのに、とても良いのです。
でも、それだけでは足りません。私が言えるのは、そこまでです。私達は、まだその段階で、そこからは、今から取り組む仕事なのです。
最高のアイデア、最強の直感を使ってそれを試してみないといけません。
私達が成功しているのかを知り、失敗し、間違い、そしてそこから学んだことで、一からやり直さないといけないのです。
つまり、子どもたちの『やり抜く力』を高めるため、私たち自身が、やり抜かなくてはならないんです。