ジェイムズ・ヴィーチ(James Veitch)さんは、イギリス・ロンドン在住のコメディアンであり、作家です。この度、TEDスーパープレゼンテーションで「迷惑メールとの闘い」のトークをしてくれます。 ジェイムズさんは、「迷惑」メールを前向きに取り組み、こちらTEDでは迷惑メールを送ってくる相手とのやり取りを面白おかしく話してくれます。
数年前、私のところに、よくあるスパムメールが届きました。僕のスパムフィルターを見事にかい潜り、なぜか私の受信箱に入っていました。ソロモン・オドンコという男からでした。
怪しいでしょう?
内容はこうでした。
Hello, James Veitch,
I have an interesting business proposal I want you to share with you, Solomon.
ジェイムス・ヴィーチさん、こんにちわ。
面白いビジネスのご提案があります。ソロモンより
削除ボタンの上まで手が伸びていました。携帯を見ながら思ったのは、このまま削除してもいいけど、それとも、誰もがずっとやってみたかったことをしてみようか!とも思いました。
ソロモンさん、興味をそそられます。(会場・笑・拍手)
これで、ゲーム開始です。
ソロモン:「ジェイムズ・ヴィーチ様、黄金を送らせていただきます。」
「売った黄金の10%があなたの利益になります。」
これで、相手がプロだと理解しました・・
僕:「いくら分ですか?」
ソロモン:「少量から始めましょうか。」
僕:「なんだ、少量か!」と思ったら
ソ:「まずは25キロから」
25キロの金は、250万ドルに相当します!
僕:「ソロモンさん、やるならビッグにやりましょう!」(会場は笑と拍手)
僕:「私には可能だ。全部でどれくらいの金があるんですか?」
ソ:「私が持っている量はいい。肝心なのはあなたがどれくらい扱えるかです。試しに50キロから始めましょうか?」
僕:「え?50キロ? 僕は最低でも1トンはないとやる価値はないぞ!」
ソ:「お仕事は何をしてるんですか?」
僕:「ヘッジファンド銀行の経営責任者だ」
金塊を輸送するのは、初めてじゃないんだよ、君。
そして、僕は取り乱します・・
僕:「拠点はどこですか?君のほうはどうだか知らないけど、郵便を使うなら書留にするべきです。大量の黄金ですからね・・」
ソ:「会社がうんと言うかどうか・・ 大量に輸送するわけなので・・」
僕:「ソロモンさん、よく分かるよ・・役員会議で使えるようなビジュアル資料を用意しましょう。それまで踏ん張ってくれ!」
それで、これを送りました。
金の量 / 富
会場は大拍手・・・
ここに統計学者がいるか分かりませんが、確実に危ないですよね・・(笑)
僕:「ソロモンさん、添付のチャートが使えるはずです。私のアシスタントの一人に計算させました。ありったけの黄金を輸送する準備は万端です。」
どこかで、必ず彼らはこちらの心をつかもうとします。
彼も、この時ばかりと、
ソ:「この取引が上手くいったら最高ですね!私にもかなりのマージンが入るので。」
僕:「素晴らしい!あなたの取り分は、一体何に使うんですか?」
ソ:「不動産です。あなたは?」
僕は、しばらく考えました。
僕:「一言で言おう! フムスです。
フンムスあるいはフムス、ハマスは、ゆでたヒヨコマメに、ニンニク、練り胡麻、オリーブオイル、レモン汁などを加えてすりつぶし、塩で調味したペースト状の料理。 英語でハモスと呼ばれる。wikiより
僕:「この間、スーパーに行ったら、30種類は並んでました。生の人参を切って、つけて食べたりも出来ます!やったころあるかい?ソロモンさん」
ソ:「そろそろ就寝の時間です。また明日!おやすみなさい。」
僕:「ボンソワール、僕の金塊くん、おやすみ。」
皆さん、想像してみて下さい。これが何週間も続くんです。とはいえ、人生最高の数週間でした。でも、収拾がつかなくなってきて、やむを得ず打ち切ることにしました。友達に飲みに誘われても、
「黄金関係のメール待ちだから、無理」となる訳で・・ これは、もう打ち切りだ! ありえないオチを付けなきゃ!と思い、一計を案じました。
僕:「ソロモンさん、セキュリティが気がかりです。お互いメールするときは、暗号を使いましょう。」
ソ:「いいですね。」
僕:「ソロモンさん、僕は徹夜で暗号を考えました。今後の通信全てに使うように! 弁護士は、くまさんグミ: 銀行⇒クリームエッグ、法務⇒コーラグミ、申請⇒ピーナッツM&M、書類⇒ジェリービーンズ、ウエスタンユニオン⇒巨大トカゲグミ・・」
彼らも使う言葉だってこと知ってたからね。
僕:「今後の通信全てにおいて、私をキットカットと呼ぶように。」
返事はなく、やりすぎたと思いました。ちょっと巻き戻さないとね・・
僕:「ソロモンさん、この件はまだ生きてますか? キットカットより」
こういうのは徹底しないとね!
そして、返信が来ました。
ソ:「取引は進行中です。あ~だこ~だ・・」
僕:「ちょっと待って!暗号を使って下さいよ!」
すると、僕の人生史上最強のメールが来ました。
ふざけてるんじゃないですよ!本当に届いたんです。
ソ:「ビジネスは進行中です。クマさんグミに支払う金を集めている最中です。彼には必要なコーラグミ・ジェリービーンズをすべてクリームエッグに提出して、ピーナッツM&M手続きを初めてもらいます。1500ポンドを巨大トカゲグミ経由でご送金下さい。」
これが、あまりに楽しすぎて、考えてしまいました。もしも、ありったけの時間でできる限り迷惑メールに返信しまくったらどうなるだろう?と。
それをまさにやっています。この3年間、皆様の代理でね!
迷惑メールに返信し始めると、ありえないことが起こります。
僕は意地悪をしているんだとは思いません。このような悪人に対して意地悪する人がたくさんいます。僕はただ、彼らの時間を無駄使いしているだけです。僕の相手をしている間は、彼らは、自分の時間を使って、騙されやすい大人たちをカモってないわけです。
もし、やってみようと思ったら、注意して取り組んで下さい。そして、偽名のアドレスを作りましょう。本名のアドレスはダメです。僕は、最初それで最悪なことになりましたから・・
朝起きると、メールが1000通届いてて、メールは、ほとんどがジャンクメールでした。
でも、いいことを教えましょう。
こんな風に始まるメールが届いた日は、ラッキーだと思って下さい。
「私は、ウィニー・マンデラ。南アフリカの前大統領ネルソン・マンデラの第2夫人です。」
僕は、あ~あのウィニー・マンデラね!と思っていました。
一人目じゃないですもの。
ウィニー:「4500万ドルを国外に出さないとなりません。夫のネルソン・マンデラの容態が芳しくなくて・・
彼女が送ってきたものが、面白すぎました。
一見、まともな証明書なんですけど、本物でないことは理解できました。
僕:「ウィニーさん、大変お気の毒ですが、ご主人が3ヶ月前に亡くなったことからも、かなり深刻な容態だといえますね。」
健康状態としては、これ以上悪くなりようがないでしょう!
ウィ:「銀行の私の担当者の指示に従っていただけますか? one loveより。」 (one love : ボブ・マーリーの歌詞)
僕;「もちろんです。 NO WOMAN NO CRY」 (NO WOMAN NO CRY、これもボブ・マーリーの歌詞)
ウィ:「担当者に3000ドル送金するように。One Love」
僕:「問題ないです。I SHOT THE SHERIF」( I SHOT THE SHERIF:ボブ・マーリーの歌詞)
ありがとうございました。
以上でトークは終了しました。
今回は、ジェイムズ・ヴィーチさんのコメディートークでした。
彼が、迷惑メールを送ってくる相手とやり取りをしている間、相手は自分の時間を使ってジェイムズさんとやり取りをしています。その時間は、相手は他の人を陥れようとはしてないわけで、その時間だけ、ある意味、人が救われているわけです。これで迷惑メールが減るわけではないですが、一時的に食い止める一つの方法ではありますが・・
英国人のジョークといったところですか・・